無添加の味はトータルで考える

ラーメン店時代の出来事

私は以前、チェーンに加盟してラーメン店を経営していて、他の加盟店のラーメン店主とお付き合いする機会も多かったです。

ラーメンにもギョーザにもチェーンの基本レシピがあるのですが、ギョーザに関しては比較的自由で、それぞれのお店が味にこだわりを持ち、まさに「味自慢」を競っていました。

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ある店主さんが私に、「うちのギョーザは牡蠣エキスを入れているからよそとは違うんだ」と教えてくれました。私がそれを真似て、牡蠣エキスを入れて試してみると、確かに牡蠣の味がして美味しい。

別の店主さんは、「コショーを増やせば味がしまって美味しくなるよ」と言います。
それで私がまたそれを真似ると、確かに刺激感が出て、味が引き締まりました。

化学調味料という魔法の粉

そうやって、いろいろな人から教えてもらったものを真似をしたのですが、ある日、「今日のギョーザの味はおかしい」というクレームがお客様から相次ぎました。

食べてみると、味が腑抜けています。ぜんぜん美味しく感じません。

ギョーザを作った従業員に確認すると、牡蠣のエキスも、コショーも間違いなく入れたと言います。

しかし、「あ、あれを忘れました!」と言いいました。それが、味の素、そう、化学調味料だったのです。

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このときのギョーザの味付けは、塩、しょうゆ、ごま油、酒、それに牡蠣エキス、コショー、味の素(化学調味料)、でした。

化学調味料を入れなければ、まったく旨みが出ない・・ということは、ほとんどの旨みは、化学調味料で出している、ということになります。新米ラーメン店主の私には、それは衝撃でした。

それはキムチでも同じだった

その後キムチ屋を始めたときも、韓国の方に教わったタレのレシピは、大量の化学調味料を使用するものでした。その量の多さに、驚きました。

それから幾年月。

今はキムチだけ作っていますが、化学調味料をゼロにして、無添加キムチを標榜して久しくなりました。無添加で美味しさを出すために、「あれを入れたから」「これを加えたから」などという生易しい改善では済みません。
ギョーザに牡蠣エキスを入れるとか、コショーを増やすとかいう問題ではないのです。

無添加への道は遠く困難

まずベーススープに10時間かけて「肉と野菜のコク」を取り、和風のだし(昆布、煮干、しいたけ)を作り、醤油系のタレを作り、味噌系のタレも作り、魚介類の素材をたっぷりと使い、そしてキムチ本来の唐辛子やにんにくやエビ塩辛と混ぜる・・・。

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ベーススープも、和風だしも、醤油系、味噌系のタレも、当初のレシピにはありません。ホタテやあさり、牡蠣などの魚介類も材料にはありませんでした。
あったのは、唐辛子やにんにく、エビ塩辛などの基本素材と、大量の化学調味料だけだったのです。

無添加で美味しいものを出すと言うことは、「あれを入れる」「これを入れる」ということでは出来ません。

最近は、「添加物」に分類されない、たんぱく加水分解物や調味エキスなどを加えて旨みを演出し、「無添加です」と名乗る商品が増えて来ました。安易といわざるを得ません。

無添加には哲学が必要

まず、味の設計図を作り、それを味の要素に分けて、それをどうやって組み立てるかを、試行錯誤の中で決めていくしかありません。

またその大前提として、「なぜ無添加でいくのか」という、「哲学」を確立させなければなりません。

売るため、儲けるためではありません。それは哲学ではありません。

しっかりとした、食の安全と美味との関わりを説明できるだけの、「生き方」としての哲学です。

無添加の味は、こうして、すべてをトータルで考えながら作っていくものです。

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今ですよ!

もちろん、何から何まで、無添加です!

梅雨時の食中毒にご用心

食中毒の多い季節です。

食中毒は、冬場にノロウィルスなどの「ウィルス」原因のものが多く、梅雨時や夏場は「菌」によるものが多いといわれています。
高温多湿の今の時期、十分気をつけましょうね。

営業者として食中毒に気をつけている要点は、ご家庭でも通用することばかりですので、ご参考にしていただければ、幸いです。

1)洗う

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洗うこと・・・これが食品衛生の大基本です。

手を洗う、食器、まな板、包丁を洗う、食材を洗う。洗い流してさえしまえば、菌は働きません。「水がもったいない」などといわずに、とにかく「菌を洗い流す」ことを徹底してください。

2)消毒する

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最近は家庭用の消毒用アルコールなども、ホームセンターで気軽に買えます。当店でも、多用しています。
さらに、「次亜塩素」といわれる、塩素系の漂白消毒液も必須です。いわゆる、「キッチンハイター」ですね。これで、まな板、包丁などは定期的に消毒しましょう。また、排水パイプなどに詰まったヘドロから発生する虫(チョウバエ等)に対しても、この次亜塩素が非常に有効です。

さらには、熱湯消毒も有用です。面倒ではありますが、習慣付けましょう。

3)加熱する

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ほとんどの食中毒菌は、75度以上の加熱を3分以上続けると、死滅します。

「煮る」「ゆでる」「焼く」「蒸す」「揚げる」等の加熱方法を、必ずこの温度と時間を意識して行ってください。その際、食材の中の温度が75度以上になっていることが必要です。

最近流行の「低温揚げ」などは、時間をかけて中まで温度を通し、さらに、150度以上まで温度をいったん揚げて、念には念を入れて、加熱するようにしてください。

4)冷蔵する

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肉、魚、野菜などは、必ず冷蔵保管してください。調理前に菌が繁殖してしまっては、非常に危険です。

さらに、出来あがった料理の保管も、冷蔵が基本です。

スープやシチュー等も、出来上がったら放置せず、冷蔵庫で保管することが必要です。

お弁当を朝作り、ご主人やお子様に持たせることはどこでも行われていることですが、これでよく食中毒が起きます。朝からお昼までの間、会社や学校では「冷蔵保管」は普通出来ませんよね。

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40度から50度という温度帯は、「セレウス菌」や「ウェルシュ菌」が急速に繁殖する温度帯で、もしお弁当の食材にこの菌が存在していたら、非常に危険なのです。

カレー、シチューなどを冷蔵保管するのも、これと同じ理由です。

「セレウス菌」や「ウェルシュ菌」は熱にも強いので、加熱調理でも死にません。まずは「洗い流す」ことが必要です。お弁当の素材も、十分洗ってからの使用をしてください。

5)菌のつくような道具は使わない

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せっかく手を洗っても、それを拭く「タオル」には、菌がたくさんついています。

せっかくお皿を洗っても、それを拭く「フキン」にも、菌がつきがちです。

普通、当店のような営業者には、手拭用のタオルは存在しません。また、食器を拭くフキンも存在しません。すべて、「ペーパータオル」の使い捨てです。

また、調理作業中に「帽子」や「手袋」は営業者には必須アイテムですが、家庭でそこまで出来ないのもわかります。ならばせめて、手洗い、消毒はこまめに行うように心がけてください。

また、野菜などの食材を冷蔵庫に入れる場合も、ホームセンターで売っている「ポリ袋」などに入れてから保管するようにしましょう。むき出しのままの保管では、泥などがほかの食材についたり、また冷蔵庫の中で散乱したりして、結果として不衛生になりがちです。

 

6)発酵食品は安全です

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菌は菌でも、安全な菌があります。発酵食品などを作る菌は人間にとって有用であり、また、有害菌を殺す働きも持ちます。これらを総称して、「乳酸菌」とも呼びます。

日本は世界に冠たる、発酵食品の王国です。

味噌、しょうゆ、酒、みりん、焼酎、漬物、酢、豆腐、納豆・・・和食に不可欠なこれらの食材は、食中毒を防ぐ食材でもあります。

当店のメイン商品のキムチなども、発酵食品を多用するだけでなく、キムチそのものが強力な発酵食品です。キムチの乳酸菌に出会うと、あらゆる食中毒菌が瞬時に死ぬともいわれています。

ただし、よく安売りされている添加物だらけのキムチでは、それを期待できるとは限りません。
数年前に北海道のキムチ業者で起きた食中毒は、ただ塩漬けの白菜に、添加物メインのタレを合わせるだけの「キムチ」だった故の事故だったと思われます。

「正しい発酵食品」を、ぜひ多食してください。

手前味噌ですが、「無添加」で「正しい発酵食品」のやがちゃんキムチは、創業以来、事故の経験が一度たりともありません。

 

◎まとめです

洗い流す

消毒する

加熱する

冷蔵する

これが食中毒を防ぐ4要素です。

それに加えて、「道具」のチェックや、「発酵食材」の多用もできていれば食中毒とは無縁の生活が送れるはずです。

さらに、人間にはもともと、ちょっとやそっとの菌なら抵抗する免疫力があります。

楽しく美味しい「食生活」を楽しんでまいりましょう!

 

 

日本一という言葉は、日本で一つだからこそ、出せます

うちのキムチは日本一だ・・・・そういう言葉をある場所で出したときに、誤解をされたことがあります。尊大な言い方だととられたようです。

日本一とは、どういう意味か。以下のような例で、お分かりいただけると思います。

例は、「ハンバーグ」です。

美味しそうなハンバーグのディッシュの写真ですね。

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私は洋食についてはほとんど素人です。ハンバーグを自宅で作ったことはありますが、それほど得意とはいい難いです。

もし、ある日突然、やがちゃんキムチで、今日のメニューで「ハンバーグ定食」をどうしても作らなければいけない事態になったとしたら、、私はどうするでしょうか?

極端な話ですが、「ハンバーグ定食を作れば、許す。作れなければ、店を爆破する!」・・などといわれたとしたら・・・です。爆破されたらたまりません。そんな緊急事態になったら、気の弱い私は、すぐに近くの市場に仕入れに行くと思います。

そして、調理済みで真空パックになっていて、温めるだけですぐにメニューに出せるようになっている市販のハンバーグを買います!

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ついでに、つけあわせのポテトも買います!

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野菜も冷凍野菜を買って解凍します!

・・・・・・

今、こうした、解凍するだけで出せるような、調理済みの出来合いの惣菜類は、山ほどあります。
誰もが、その日から食堂やレストランを経営できるほどです。
こういうものを利用すれば、一からつらい食の職人の修業などする必要はないのです。

そして、これだけの種類と量の業務用惣菜があるということは、それを利用している人がいかに多いかを物語っています。

これが、「外食、中食」ブームの現実でもあるのです。

でも、よく見たら、そういう素材には、こんな添加物の表示が。

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それだけではありません。

もっとも肝心なことは、そうやって簡単に作るハンバーグ定食などは、私以外の誰でも作れる、ということなのです。

卑しくも食の職人。人様が作ったものをそのままお出しすることは、一言で言えば、「恥」です。
職人の恥なのです。

誰でも作れるものを提供するだけの者は、もはや職人ではありません。

そんなことをしたら、食の職人のあなたは信頼を亡くし、たとえ爆破を防げたとしても、良心的なお客様は、いずれ来てくれなくなります。

あなたのお店に来てくれるお客様というのは、あなたが作っているから、それがあなたの苦心惨憺して作り上げたメニューだからこそ、召し上がりに来るのです。

・・・・・

世の中に、「美味しいもの」はいくらでもあります。

でも、「あなたが作るもの」は、あなたのところにしかありません。

私はそう信じています。
これからもずっと、それを変えることはありません。

その私が、自信を持ってお勧めするものを発売しました。

国産手羽中の素揚げキムチです。「やがちゃんウィング」という商品です。

先日発売した「キム手羽」へのご反応をもとに、一から作りました。

素材も変え、揚げ方も変え、タレもすべて変えました。

そしてもちろん、言うまでもなく、無添加です。

すべて、オリジナルです。よそ様が作ったものではありません。

だからこそ、「日本一」とう言葉を出せるのです。

日本にひとつしかないですから。

比べるものがないほどに、 オリジナルであること。それが日本一、世界一という言葉につながります。

 

 

 

生きているから、無添加を

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前回のブログで書いた「手羽先キムチ」は、「キム手羽」として発売しました。

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壮絶な美味です。何人ものお客様から絶賛のメールが寄せられて、うれしい限りです。
ぜひどうぞ。こちらから。

なぜ美味を求めるのか

さて、キム手羽も含めて、「味のこと」です。
人はなぜ、美味を求めるのでしょうか。

この世にはいろいろな食の材料がありますが、味付けをしないでそのまま食べられるものももちろんあります。
また、味付けをしないと食べられないようなものももちろん多いです。

なぜ人は、「味付け」をし、「美味しさ」を求めるのでしょうか。

人と動物とはどう違うのか

つい最近まで、私はその理由を、「人間が文化的な存在だから」と思ってきました。
人間以外の動物は、生きるための栄養摂取の目的で、食べる。
人間は文化を持つ動物だから、そこにさらに「美味しさ」を求めるのだと。

しかし、最近思うのです。

なぜ、春に初夏に、秋にも冬にも、あれだけ多くの種類の花が地球上で咲き誇るのでしょう。
春に梅や桃の花が咲き、桜の花弁がいっせいに開き、花みずきが咲き、初夏にはつつじやサツキが一斉に咲く。

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なぜでしょう。なぜ、あれほどに美しいものが次々と現れるのでしょうか?

それを考えていて、閃きました。

「あれは、花粉を運んでもらいたくて、蜂や虫を呼び寄せるために美しく咲いているのだ」と。

地球上の生き物は、美を理解できるのかも知れない

そうだと思います。蜂でも虫でも、美しいものを好むのです。だから、私たち人間が美しいと感じるように、虫たちも美しいと感じて、花に近寄るのです。
私たち人間と同じように、昆虫も動物も、「美」を理解できるわけです。

つまりは、より美しいものを求めるという本能があるわけです。

美味であることと、無添加であることは同じ意味!

さらにいえば、食べることに関しても、「より美味しいものを求める本能」があると思うのです。

ですから、味付けをしてより美味にしようという行為は、一動物としての、人間の本能であると思うのです。

そんなことを考えながら、毎日の「味つくり」に励むと、「自分は地球の一員であるのだ」という思いにもかられます。

だからこそ、化学的に合成した添加物は使ってはだめだ。無添加を押し通すべきだともいます。

自然の味こそ、美味の原点。

無添加であることの原点に気がついたような気がします。