ちあきなおみ、黄昏のビギン

永六輔 作詞
中村八大 作曲

「黄昏のビギン」    ちあきなおみさんの歌です。

ずいぶん前の歌ですね
最近、「YOU TUBE」で見かけて、ああ、いい歌だなあ、と思うようになりました。

ちあきなおみさんは、芸能界復帰の熱いラブコールをひたすら拒んでいらっしゃるとのこと。

この曲以外にも、YOU TUBEにはたくさんアップされていますが、
亡き河島英五さんの「酒と涙と男と女」をカバーされているものも、素晴らしいです。

作詞者の永六輔さんは、今でも元気に、ラジオで発言をされています。

軸のぶれない考え方、日本語に対する真摯な姿勢は、私にも大きな影響を与えています。

 

ところで、入梅前のこの時期、そぼ降る雨のことをどのように昔の方が表現されたか・・・。

  麦雨 (ばくう)           麦の実る時期の雨

  卯の花腐し (うのはなくたし)  卯の花も腐らせるような長雨

と呼んだそうです。
綺麗ですね。

美しい日本語。

情感のこもる調べ。

大切にしたいですね。

 

   by やがちゃん of やがちゃんキムチ

 

国産白菜は当たり前

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青々とした白菜畑

 

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茨城産の初夏の白菜

 

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青みが若干ありますが、美味しいです。

これから真夏になると、信州の夏白菜に切り替わり、そして秋になると、また茨城の冬白菜に移って行きます。

やがちゃんキムチの白菜キムチは、茨城か信州産の白菜のみを使います。

 

スーパーで、わざわざ「国産白菜使用」と銘打ってある商品に出会うこともあります。

国産しか知らない我々にとって、違和感のある表現です。
白菜なんて、国産以外のものを使うことなど、これっぽっちも考えたことはありません。

白菜の高騰時に、中国や韓国の白菜が出回ることもありますが、安いだけで、鮮度は悪いし、使えた物ではありません。

当たり前の「国産」より、ほかの点をアピールするべきですね。

 

身土不二。

環境と人間は、切り離せない、という考え方です。

 

だから、当たり前の国産の、地元の白菜です。

    by やがちゃん of やがちゃんキムチ

浜名湖山吹のうなぎ

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父の日も間近。

そして、真夏も間近。

夏の風物詩の一つ、うなぎの蒲焼。

 

インターネット上には、うなぎ屋さんがひしめいています。

そのなかで、やがちゃんが自信を持ってお奨めできるのが、、このお店。

 

国産うなぎ100%。

輸入ものはいっさい扱いません。

そして、伝統の秘伝のタレの美味しさ、職人技の焼き方の巧さ・・・・・

頼んで絶対に後悔しない、大満足することは、確実です。

 

浜名湖の天然うなぎもあります。これはちとお高いですが、やはり、味がぴか一。
夏の暑い日、これを食べる楽しみ、想像してみて下さい。

例年、土用丑の日にかけては注文が集中するとのこと。

いまのうちに、いかがですか?

 

 by やがちゃん of やがちゃんキムチ

自作の握り寿司で、誕生パーティー

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家族の一人が本日誕生日。そこで・・・・

 

中トロ

真鯛

粒貝

 

全部、近所のスーパーで買ってきまして、切りまして、握りのお寿司にしました。

総費用、2000円くらい。

私、駆け出しの寿司職人さん程度には握れます・・・かな?

 

握る時間、この程度なら、10分くらい。
酢飯も、ごはん、酢、砂糖でチャッ、チャッと作れます。

 

素人が寿司を握るときの注意事項は

◎ご飯は右手だけで優しく柔らかく握る。ついついギュッと握りがちですが、10のうちの3程度の握り力でちょうどいいです

 

◎ワサビは、つけない。ワサビをネタの裏につけるときに、バランスが崩れます。ワサビは、食べる時にネタの上に乗せればOK.

 

◎上手に見せるには、ご飯からはみ出たネタの両端を、ごはんに巻き込むように曲げてあげること。
見た目が違って来ますよ

 

手造りで、美味しくて、たっぷり食べられる自家製握りずし。

やって見ましょう!

 

 by やがちゃん of やがちゃんキムチ

毛がにの棒肉ケジャン/たまの贅沢

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毛がにケジャン丼

思い切り、食べたい・・・

 

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毛がにの一番美味しいところの、第一関節までの、棒肉。
取り出すだけでも大変です。

 

kegani786素材は、今が旬の、北海道産の毛がに。

かにの王者ですね。

 

以前から構想はありましたが、材料があまりに高価なため、逡巡していました。

今般、仕入れ元のご厚意で、大分お安く分けていただきましたが、それでもお高い。

でも、棒肉10-15本で、ケジャンにして100g。
これを、1680円。

ケジャン丼にしたら、2-3杯分は十分にあります。

北海道に行かなくとも、自宅でケジャン丼。満足。

たまの贅沢で、食べるのいいじゃないですか。

 

おすすめです。

いつでも会える、いつでも帰れる

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神田駅から3分、「リーダーズサロン なみへい」という、飲食サービスもある、サロンがあります。

ここを借り切って、OSMCというネット販売同業者の勉強会と懇親会が行われました。

OSMCは、800近い業者が集う団体ですが、主宰する会社の名前が、つい先日変わりました。

新たな名は、「こきょう」です。
上の写真の右に立つ男性が、その社長、森本氏。

立って挨拶するのは、この日の主宰者、長坂さん。

長坂さんは、「ささはたドットコム」という、町おこしサイトで有名な方です。
乳がん克服の日々を綴ったブログ、「小さいけれど明るいお乳」は、感動的です。

 

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「なみへい」の社長、川野さん。

全国から東京に集まるビジネスマンたちの「心のよりどころ、心の発信場所」でありたい、と、素晴らしい理想を語ってくれました。

このサロンは、飲み物も食べ物も、持ち込みも可能なのです。

 

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ホンマグロとミナミマグロの違いを説く、マグロのみやこの高橋さん。

このあと、このマグロを鮮やかな包丁捌きで切って、振舞ってくれました。

 

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挨拶するのは、都内で5店の居酒屋チェーンを経営し、「アグー豚」などを売る「バグース」というサイトも展開する「ウィルビー」の、真瀬さん。隣に緊張して立つのは、その右腕の「つとむ君」。

真瀬さんは、来月、娘さんを出産されます!

 

やがちゃんも挨拶し、「甲羅無しケジャン」と「マイルドヤンニョムジャン」を振舞いました。

「うまいうまい!」と」歓声が上がり、あっという間になくなってしまいました。

 

ほっとできる空間、「なみへい」。

すばらしい仲間が集う、「OSMC」。

 

私たちには、「故郷」があります。

マイルドヤンニョムジャンのものすごさ

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ゆでたサツマイモを、「マイルドヤンニョムジャン」につけて食べる・・・

 

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これが、マイルドヤンニョムジャン

 

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いろいろなものを混ぜて作ります

 

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ホタテ、牡蠣・・・・こんな高価なものを、こんなに使います

 

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これは、アミ海老、にんにく、にんじん、ショウガをきざんだもの

 

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唐辛子、砂糖、ゴマに加えているスープは・・・・

 

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10時間煮出した、鶏肉豚肉、野菜、昆布、蟹などの旨みぎっしりのスープです

 

やがちゃんの命は、ヤンニョムジャン。あらゆる味の基本になります。

その最終形の、マイルドヤンニョムジャン、完成!

 

 ◎どんなものにも合います!

魚、野菜、肉・・・・・・全てに合います

 

 ◎素材の味を殺しません

マイルドだから、素材の味をむしろ引き立てます

 

 ◎老若男女が楽しめます

小学生以上はOKの辛さ!

 まずは、200円で、お試し購入を。

 

明日まで実施中です!

あさりの記憶

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東京下町に住んでいた子供時代、春になると朝早くから、リヤカーを引いたおじさんの声が町に響きます。

「あさりーーーー、しーじみーーーー」

すると母に起こされて、

「ほら、これに一杯もらっておいで」

と、アルミのボールと板垣退助の100円札を渡されます。

寝ぼけ眼のパジャマ姿で出て行くと、近所のおばさんたちがもう並んでいて、

「あら、乾物屋の僕。起こされたの?」

と笑って迎えてくれました。

おじさんにボールにあふれるほどのアサリをもらって帰ると、姉達も起こされてきて、歯を磨いています。
そこに、千住の市場に買出しに行っていた父のオートバイの音がして、みんなで外に飛び出ます。
オイルの匂いをプンプンさせたオートバイの後ろにはタイヤ付きの荷台が付けられていて、木箱に入った魚やお菓子の箱が山ほど積まれています。

あっ!チョコレートだ!

と、下の姉が目ざとく見つけて触ろうとすると、父が、

「こら、これは売り物だぞ。さあ、朝飯を食おう!」

と、汗を拭きながら家に入っていきます。

 

茶の間に入ると、もう、5人分のご飯と鮭の塩焼きとアサリの味噌汁が、丸いちゃぶ台の上にぎっしり!

母の料理の手早さは、天下一品でした。

 

朝ごはんを食べながら、姉二人が学校で起きたことを言い争って母にたしなめられたり、父が今日の市場の様子を話したりしていると、ラジオから宣伝が流れてきます。

 

 船橋ヘルスセンター!

 船橋ヘルスセンター!

 長生きしたけりゃちょっとおいで♪

 チョチョンノパ チョチョンノパ♪

 

それを聞いた父が母に、

「今度の休みにはヘルスセンターでも連れて行くか」

と言います。母は、

「婦人会の集会があるわ」

と不安顔。しかし、子供達は黙っていません。

「ヘルスセンター行こう! 行こう! 行ってアサリ獲ろうよ!」

 

今は船橋ららぽーとになっている場所にあった、健康ランドの走りの「船橋ヘルスセンター」。
一歩でれば、遠浅の砂浜が続く、アサリの産地でもありました。

未だ砂の抜けないアサリの味噌汁をぐいっと飲み干し、

「わあ! ヘルスセンターいけるぞお!」

と叫んで、ランドセルを背負った、私の、45年前。

 

平成の今も、5月はアサリの美味しい時期。

船橋近くの三番瀬や、富津の砂浜で獲れるアサリを使った、「あさりチゲ」。

美味しいです。

母の日の手作りギョーザ

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母の日は、ギョーザの好きな母のために、私の手作りギョーザを作りました。

皮も、もちろん粉を練っての手作り。
ギョーザの美味しさの半分は、皮の美味しさです。

粉をお湯で練ってこねて、ボール状にして発酵させること1時間。その後、こうやって皮にします。

 

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キャベツ、にら、にんにく、ひき肉を、塩、ごま油、砂糖、お酒で味付けして具を作ります。
だからもちろん、無添加です。

 

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手造りの皮は、厚く出来ます。

だから、ゆで時間も5分以上。しっかりと火を通しましょう。

 

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ハイ、出来上がり。

ギョーザに合うのは、もちろん、ビール!

あ・・・・母はお酒は飲みません。これ、私の分・・・・。

 

by やがちゃん of やがちゃんキムチ

足利学校最中は、無名でもおいしい

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商売で成功することが、必ずしもいいこととは限りません。

 

先日の旅行で、対照的な二つの例を体験しました。

まず、帰途に寄った、名高い「佐野ラーメン」。

あちこちに店がありますが、どこがいいか分からず、厄除け大師隣の一番目立つ店に入りました。
戦国有名武将の名が店名です。 小雨の中、30分も並んで入りました。

 

 ◎スープのだしが全く取れていない

 ◎麺がゆですぎて延びている

 ◎チャーシューに味が無く、脂っぽ過ぎる

 ◎店員が威張っている

 ◎店が汚い

 ◎金粉入りラーメンなどというものを売っている

 ◎タレントのサインが、汚らしく張り出されている

 

ということで、近年食べたラーメンの中では、抜群の最低点。私も息子も、ほとんどを残しました。

 

その後車を走らせていて、足利市内の裏街道にポツンと建つ古びた「最中」屋さんを発見。
名前は、なんと「足利学校最中」

ガラス戸をあけると、いい匂い。

でも、お客さんが誰もいないでひっそりとしています。

ショーケースには、「学校最中」が並んでいて、奥さんらしき人が、笑顔で迎えてくれました。

「美味しいかな?」

と、ワザといたずらっぽく聞くと、

お化粧気の無い奥さん、

「皆さんに人気ですよ。ご試食しますか?」といって、ケースの中から売り物の最中を二個も取り、お皿に入れて出してくれました。

「悪いですねえ」と言いながら口に入れてみると、大きい小豆粒が残るあんこがしっとり、しかも微かに塩味が聞いて、美味しい。息子は、ぺろりと一つ平らげてしまいました。

「上品で美味しいですねえ」

「ありがとうございます。うちは北海道の小豆しか使いません」

実は、足利にはKという別のブランドの有名な最中があり、しばしばマスコミにも登場する。この前の日にホテルで買って食べたのだが、味は今ひとつだったのだ。

「Kさんのは、北海道じゃないのかな?」

「さあ、よそさまのことは・・・」

と、奥さんは笑っていたが、表情には、違いますよ、と書いてあった。

足利学校最中、一箱買って帰り、数日で食べ切ってから、

「あ、デジカメで撮るの忘れた!」

ネットで検索しても、Kの最中しか出て来ない。不覚でした。

 

商売が上手ということと、いいお店だということは、全くの別の話ですね。

やがちゃんキムチも、決して商売上手ではないのが・・・・・我ながら悲しい・・・・・。

 

昨日から、「やがちゃんの味をお知り合いにご紹介ください」というビラを商品に入れ始めました。

どうぞ、ご紹介くださいね。

足利の馬車道

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足利には、有名な「足利学校」があります。

昼時、その参道を息子と腹をすかして歩いていると、「馬車道」という食堂がありました。
こじんまりとした、歴史を感じさせる洋食食堂です。

行楽客の行列が出来、先頭の組が中を覗き、店の人と何事か話しては、中に入らずに去っていく。
それが、何組か続いています。

近寄って見ると、いかにも美味しそうな匂い。

清らかで上品なだしの匂いが香ってきたので、ああ、ここは旨いな、と確信して、息子と行列に並んでみました。
行列といっても、次から次へと、店に入らずに帰っていくので、すぐに順番が来ます。

私達の前は、若い夫婦と、幼稚園くらいの男女の子供の4人連れでした。
店先には、80を超えてるだろう、腰の曲がった店主らしきお婆さんが立っていて、お客さんと話をします。
4人家族のご主人とそのおばあさんのやり取りが聞こえます。

「4人ですけど、席、空いてますか?」

店の中も覗けて、空席も見えるのです。

「すみませんねえ。今一杯で、時間掛かるんですよ」

「あ、そうですか。あの席、空いてるようだけど」

「いえね、作るのに時間がかかってね」

「どのくらい待てばいいのでしょうか」

「それがね、はっきりといえないんですよ。今日は混みあっていてね。すみませんねえ、せっかくきてもらったのにねえ」

丁寧な言葉使いの中にも、凛とした強い響きがあります。

ご主人は奥さんと何かやり取りしたあと、諦めて、子供の手を引いて帰っていきました。

その次が、私達の二人連れ。当然断られるのだろうと思いましたが、一応、聞いてみました。

「すみません、一杯ですか?」

おばあさん、私達の様子をササ、っと見渡し、

「はい、いらっしゃいませ。どうぞどうぞ」

と招き入れてくれました。あれ?・・・・・

案内された席に座ると、すぐに、さきほどの店主らしきおばあさんがお茶を運んできてくれました。

腰が45度は曲がっていますが、お茶をお盆に載せて歩くさまには、危なげがありません。

「いらっしゃいませ」

「前のお客さんが返されたんで、うちらもダメだと思ったんですが」

「いえね。ほら、小さい子が二人いたでしょう。今日は出来上がるのに時間がかかるから、小さい子だと、むずかって他のお客さんに迷惑かけるから。だから帰したんですよ。お宅の坊ちゃんは大きいし、賢そうだから、入れてあげたの。はい、コーラ」

「え? コーラは頼んで無いですが」

「サービスよ、サービス」

「はあ」

「うちはね、昼時の中年の男客も入れないの。必ずビールを飲むでしょ。そうすると声が大きくなってね、他のお客に迷惑だからね。はい、坊ちゃん、コーラ遠慮なくお飲みなさい」

つまり、この店主のおばあさんは、お店の前で、昼時のこの店にふさわしいお客を選んでいたという訳なのです。

頼んだのは、ソースカツ丼とハンバーグ丼。

驚きました。ロースのカツは今まで経験したことの無いような柔らかさ、ハンバーグは滴り落ちるジューシーな肉汁があふれ、掛け値無しに美味しい。僕も息子も、夢中で食べました。

食べ終わった頃、制服を着た男女の高校生の5,6人連れが入ってきた。

僕達の隣のテーブルに座り、お喋りもせずに大人しくしている。へえ、この子達は入れてもらえたんだな。それにしても、祭日なのになんだろう、と思い、一人の男の子に聞いてみた。

すると、

「そこで、ボランティアで町おこしのお菓子やパンを売ってたんです」

と、行儀良く答えてくれた。さらに詳しく聞くと、昨年市内の県立高校が合併されたのを機に、この参道で、手作りパンやお菓子を販売する公社のようなものが立ち上げられて、高校生が社会勉強のためにその業務を請け負っている、ということなのだ。
企画も販売も、全部自分達でやるということだ。

感心していると、あのおばあさんが、コーラを人数分運んできた。

「はい、ご苦労様ね。さあ、あんた方もコーラお飲みなさい。ハンバーグ丼は今作っているからね」

とニコニコしながら、高校生をねぎらっている。
生徒達は、皆礼儀正しくお礼を言って、コーラをラッパのみし始めた。

そうだ。
このお店は、一見の観光客より、地元で毎日生活する人々を大切にしているわけだ。

おばあさんのお歳や店の造りから考えても、もう4,50年はここで商売を続けているのでしょう。
その長い時間の中で培った商法には、誰も何も言うことが出来ません。
お客を選ぶことは、このお店では当然のことなのです。

そして、だからこそこの素晴らしい味を維持し、ゆったりとした店の雰囲気を保ち、誇り高く、矍鑠(かくしゃく)として、毎日お店に立ち続けているのでしょう。
おばあさんの強く美しい生き方そのものが、このお店の形となっています。

お店を出るときに、おばあさんは息子に話しかけてくれました。

「坊ちゃんは何年生?」

「3年です」

「そう、勉強はお好きかい?」

「うん、あ、ハイ」

「そう。これから、足利学校見学に行くんでしょう。あの学校はね、もう千年以上前からあった、日本で最初の大学なのよ。人間はね、あなたくらいの頃から、あたしくらいの歳まで、ずっとずっと勉強なのよ。がんばってくださいね。はい、ありがとう」

腰が曲がっているので、おばあさんの顔は、息子の顔と同じ高さにあります。
皺をさらにくしゃくしゃにして、最高の笑顔を、息子に送ってくれました。

 

   by やがちゃん of  やがちゃんキムチ

花とハチと人と

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紫の藤棚の下に集う人々

花の香りを浴び、しばし現の憂さを忘れ、そぞろ歩く

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      真白き花の群れは

      遠方より来る人々とのただ一度の出会いのために

      さらに真白くなろうとする

 

足利フラワーパークの藤に圧倒されて歩く我々の頭の上を、たくさんのハチが飛び交っていましたが、何故か誰も避けようとしていませんでした。

 

ハチは、人が無駄な動きをしなければ、襲うことは無いのです。

 

花と人と、ハチ。

 

あふれる花の中、皆一つに溶け込んでいるようでした。

by やがちゃん of やがちゃんキムチ

いい日旅立ち

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渡良瀬湧水に掛けられた、4000本の鯉のぼり。壮観です。

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公園内の洋館の2階では、懐かしい足ふみオルガンとアコーデオンの演奏会。

哀愁を帯びた調べに、つい昔を思い出してしまいます。

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実は、朝思い立ち、息子と千葉を出発。

 

ETCを買いそびれた悔しさもあり、延々と一般道を使い、つつじの里、群馬の館林まで来ました。

つつじが岡公園のつつじは大半がしぼんでいましたが、種類によっては、まだ満開。

さらに、大きなサツキの花は見事につつじの穴を埋めていました。

 

 

コシのある、館林うどんは、正田醤油のタレで食べると、最高です。

子供との行き当たりばったりの思いつき旅行は、なかなか快適。

国土沿いの真新しい大型ビジネスホテルに空室を見つけたら、温泉大浴場付、バイキング食事つき、ネット使い放題、映画見放題で、二人で1万円。

明日は県境を超え、佐野の藤の花でも見てきます。
もちろん、佐野ラーメンも。

ダルマの思い出

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小学一年か二年の正月。つまり、昭和37.8年のこと。

祖父に手を引かれて、バスに乗り浅草に行きました。バス代が、30円の頃でした。

仲見世を通り、浅草寺の境内に入ると、ダルマを売る露店が並び、押すな押すなの人の群れ。

信州弁丸出しの祖父が、私に大きなダルマを買ってあげたくて、一番大きなダルマを指差して値切ります。
「そいつはいくらすんのけ?」

売り子は、ああ、田舎もののカモが来たと思ったのでしょう、高飛車に出ます。

「そりゃあ高えよ。5000円はくだらねえ。いくら持ってきたんだい?」

私の手を握っていた祖父は、その手に力を込め、

「500円じゃ、500円。それ、500円にしてくりょ」

売り子は、祖父の顔をまじまじと見て、大笑い。

「じいさん。冗談こくなよ。500円じゃあ、これが関の山さ。ほれ、こいつさあ」

と言って、下の段に並ぶ、手のひらに乗るほどの小さなダルマを指差します。

ところが祖父は負けません。

「そいつを500円にしてくりょ」

と、大きなダルマを指差して粘ります。

「だめだと言ったらだめだい。帰(け)えった、帰えった!」

と売り子は息巻きます。それでも、祖父は動かずに粘ります。

そのやり取りを聞いて、野次馬が集まってきました。顔を真っ赤にして頑張る祖父に、声援が飛びます。

「おいダルマ屋!少しは負けてあげろい! じいさんかわいそうじゃねえか!」
「そうだそうだ!」

たじろいだ売り子、顔をしかめて、

「じいさん、それじゃこれだ、ほれ、これなら500円でいいぜ」

と言って、下から3段目くらいのダルマを示します。それでも祖父は納得しません。相変わらず大きなダルマを指差し、

「そいつを500円にしてくりょ」

と繰り返します。
野次馬は、さらに罵声を浴びせます。

「ダルマ屋、いい加減に負けろ! てめえ、境内で店張って、お釈迦様に申し訳ねえと思わねえのか!」
「そうだ!負けろ」
「負けろ、負けろ!」

辺りは騒然としてきてしまいました。

と、そこに、人ごみを分けて、白い背広を着た恰幅のいい中年の男性が現れました。
売り子に、
「この騒ぎは何だ?」
と聞いています。

売り子は、祖父と私のほうを指し、事の顛末を説明しました。

すると、その男性、ポカリと売り子の頭を殴り、怒鳴りました。

「バカヤロウ、てめえ、人の情がねえのか!」

そして手を伸ばして大きなダルマを下ろし、私の目の前に突き出したのです。

「ほれ、坊、持ってきな。じいちゃんとワシからのお年玉だ。片目を入れて大事にして、将来出世したときにもう片方の目を入れるんだぞ」

そういって、両手で大きなダルマを抱える私の頭を撫でてくれました。

「よ!親分、日本一!」

と言う掛け声と拍手が沸きあがりました。

 

・・・・・・・

 

実際の話です。

一昨日の高崎日帰り旅行でダルマを目にし、思い出しました。

ダルマ弁当は、美味しい味付けで900円。貯金箱にもなっています。
私の息子は、早速昨日から小銭を入れています。

 

  by やがちゃんof やがちゃんキムチ