無添加で美味を作る第3段階、「旨み素材の使い方」

前号の続きです。

味の仕組みを理解したら、最後に来る「旨み」を、無添加で最大化する努力をしなければなりません。

「旨み」を出す物質の代表的なもの

1)アミノ酸の中では、「グルタミン酸」がそれです。もっともポピュラーなのが、「昆布」の旨みですね。

2)核酸の中では、「イノシン酸」「グアニル酸」が代表的です。イノシン酸は、魚介の旨みで、かつお節や煮干などに多く含まれます。グアニル酸は、干しシイタケに多く含まれます。

 

 

3)このほか、あさりなどの貝類に含まれる「コハク酸」も、強い旨みをもっています。

 旨み素材は大量に使います

では、その旨み素材は、どれくらい使えばいいのでしょうか?

答は・・・・「大量」にです。量を使わなければ、望む強さの旨みが出ません。これはひとつの真実です。常識的に考えられる量の、数倍を使うと思ってください。

つまり、「ケチってはいけない」のです。

旨さは複合効果で倍化します

1)味というものは、傾向の違うものを合わせると、強くなる、という現象を示します。

たとえば、味噌は赤味噌と白味噌を合わせた「合わせ味噌」が、一番旨みを強く感じます。コーヒーに砂糖を入れると、苦味と甘みが作用して、おいしく感じますね。
カレーにビールを入れたり、コーヒーを混ぜたりすると、より美味しくなるのも事実です。

旨みも一緒です。

グルタミン酸とイノシン酸を、それぞれ個別の料理に使うより、同時に使うと、新たな強い旨みが生まれます。これを、「旨みの相乗効果」と呼びます。

これにグアニル酸とコハク酸などを加えれば、さらに複雑で深い旨みが、強く現れます。

そうなのです。

何をどういう量で、どういう組み合わせで使うかは、どういう味わいを出したいかで、決めていけばいいのです。

やがちゃんキムチの場合、「昆布」「しいたけ」「いわし煮干」の3つから、出汁(だし)を取っています。

素材は大量に使います。その量たるや、半端ではありません。

ケチってはいけない。

複合効果を狙い、組み合わせで使う。

これが、旨み素材の使い方の極意です。