ミシュランの星など要らない

レストランの格付けの「ミシュランの星」を巡って、星を失ったシェフが命を絶ったり、訴訟を起こしたりと、穏やかでない話題が聞かれます。

また、日本人シェフがパリで経営しているお店がミシュラン三ッ星を獲得したことが大きな話題にもなっていますね。

大変結構なことでしょうが、正直に書けば、あまり関心を持ちません。

当方はキムチ屋ですので、ミシュランの星などは無縁ですし、もし万が一ミシュランがキムチ部門に評価の手を伸ばしたとしても、審査することすらお断りします。

なぜなら、「作りもしない者、経営もしない者に何がわかるか」と思うからです。
顧客の立場で、美味しかった素晴らしかった、いや味が落ちた手抜きがあった等、個人的にいろいろ発信されることは大いに歓迎しますし、参考にもさせて頂きます。
ただ、それが、星がいくつだとか、何点だとか、ランクがAだとかBだとか、やれグランプリだとか金賞受賞とか、頼んでもいない方法で勝手に評価してこれ見よがしに発表されることは、まったく良しとしません。

大きなお世話なのです。

私どもは、キムチや唐揚げやサムゲタンなどの当店の商品をお買い求めくださる方のために全力を尽くしてお作りしているだけで、その関係は、常にその時のお客様との1対1の関係なのです。
その商品についてそのお客様がどう思われるか、どう評価されるかは、その時だけの、お客様と私どもだけの閉じられた関係の中でのことなのです。
それが満点をいただくときもあれば、「今回は失格」とお叱りを頂くことももちろんあります。

その閉じられた関係とは関係のない、勝手なランク付けをされることは、良しとしないのです。

キムチに関しても、いろいろな考え方があり、作り方があります。
どれが正しいか正しくないか、何が一番か二番か、などという詮索は全く意味がありません。味の評価は主観であり、その主観にも、様々の要素が絡みます。作り手と食べ手のそれぞれの背景、事情も関係してきます。

すべては、その時の「一期一会」の関係からくるものなのです。

それを、関係のない他者から、評価を「下される」ことなど、あってはなりません。味も、雰囲気も、サービスも、すべてはその瞬間に生まれ、その瞬間に消費され、その瞬間に直截に主観的に心を動かすものだからです。

星も、勲章も、賞状も要りません。

欲しいのは、お客様からの笑顔。それだけです。