前号の続きです。
味の仕組みを理解したら、最後に来る「旨み」を、無添加で最大化する努力をしなければなりません。
「旨み」を出す物質の代表的なもの
1)アミノ酸の中では、「グルタミン酸」がそれです。もっともポピュラーなのが、「昆布」の旨みですね。
2)核酸の中では、「イノシン酸」と「グアニル酸」が代表的です。イノシン酸は、魚介の旨みで、かつお節や煮干などに多く含まれます。グアニル酸は、干しシイタケに多く含まれます。
3)このほか、あさりなどの貝類に含まれる「コハク酸」も、強い旨みをもっています。
旨み素材は大量に使います
では、その旨み素材は、どれくらい使えばいいのでしょうか?
答は・・・・「大量」にです。量を使わなければ、望む強さの旨みが出ません。これはひとつの真実です。常識的に考えられる量の、数倍を使うと思ってください。
つまり、「ケチってはいけない」のです。
旨さは複合効果で倍化します
1)味というものは、傾向の違うものを合わせると、強くなる、という現象を示します。
たとえば、味噌は赤味噌と白味噌を合わせた「合わせ味噌」が、一番旨みを強く感じます。コーヒーに砂糖を入れると、苦味と甘みが作用して、おいしく感じますね。
カレーにビールを入れたり、コーヒーを混ぜたりすると、より美味しくなるのも事実です。
旨みも一緒です。
グルタミン酸とイノシン酸を、それぞれ個別の料理に使うより、同時に使うと、新たな強い旨みが生まれます。これを、「旨みの相乗効果」と呼びます。
これにグアニル酸とコハク酸などを加えれば、さらに複雑で深い旨みが、強く現れます。
そうなのです。
何をどういう量で、どういう組み合わせで使うかは、どういう味わいを出したいかで、決めていけばいいのです。
やがちゃんキムチの場合、「昆布」「しいたけ」「いわし煮干」の3つから、出汁(だし)を取っています。
素材は大量に使います。その量たるや、半端ではありません。
ケチってはいけない。
複合効果を狙い、組み合わせで使う。
これが、旨み素材の使い方の極意です。