失敗体験の方が貴重である

 

法務大臣が、とんでもない発言をして辞任しましたね。

法務大臣とは、死刑執行の朝に執行命令書にハンコを押す時くらいしか目立たない、金が儲からない役職だ、などと繰り返し語ったそうです。実に不適切で醜悪な発言であり、大臣辞任どころか、議員辞職、いや、政治の舞台から永久に追放してもいいようなレベルのものであると思います。

この「元」大臣、辞任会見でも、どこか他人事のような態度であり、一層呆れましたが、その経歴を見ると、東大出身、警察官僚から国会議員、そして大臣の座に登り詰めた、エリート中のエリートでした。いわゆる「頭のいい」方だったのです。

東大出身、京大出身という方々は、若い頃に受験で一度も失敗していない、という方が多いわけですね。それ以上の「偏差値」の高い所は無いわけですから。

それは「優秀さ」の証でもあり、国会議員や、ましてや大臣ともなれば、「優秀」でなければいけないのでしょうから、さて、優秀な方なのに、何故このような下卑た発言を繰り返ししてきたのか。理解に苦しみます。

おそらく、我々凡人とは、物事を見る位置や方向が全く違うのではないでしょうか。

国の組織で人の上に立つ方というのは、国を、組織を、国民をより良い方向に導くのが仕事ですよね。
ところが、恐らくそんなことはどうでも良く、自分が歩いてきたエリートの道を順当にこの先も進むことだけを考えて来たのでしょう。
一度も失敗が無い、常に一番上で来た、必ず「合格」して来た、挫折という経験が無い。
そう言うエリート生活で身に着いた思考方式が、そのまま出てしまった、ということなのでしょう

分かりやすいと言えば分かりやすく、間抜けと言えば間抜けであり、やはり、醜悪な思考方式と言わざるを得ません。

この大臣一人だけならまだいいのですが、今の日本の「上層」には、同様の考え方をしている、苦労知らずのエリートや二代目、三代目、四代目の「ボンボン」が沢山いるのだと思います。

何やら、消費税をさらに上げようとしている動きもあるようですし。

それでこの国が良くなるというより、自ら属する「上層」の安定が図れると思っているとしたら、大きな大きな間違いです。そんな安易な方法で、この国が良くなるものですか。
間違いの上塗りを繰り返すだけだと、気が付くことも無いのでしょう。

こうした「失敗経験の無い」方々には、ぜひ「生活の現場」に下りて来ていただいて、一緒に我々と汗を流し、涙を流し、泥に汚れて頂きたいものです。

そこから生まれる「誰も取り残さない」「常に弱きものに寄り添う」というものの考え方を、ぜひ頭の良い方々にこそ、身に着けて頂きたい。

どうか、もっと失敗をしてから、要職について頂きたいものです。