震災から6年で思うこと

昨日、3月11日でした。あの震災から6年です。

震災を機に、変わったこと

考えてみれば、あの地震の前と後で、うちのキムチ屋としての仕事の質が一変したように思えます。
表面的には、同じようにキムチを作り続け、売り続けているだけですが、その商売の基本に、「何かの、誰かのために」という視線が入ってきた、ということだと思います。

無添加で作り続けるのは、震災前は、「無添加で作るのは、売れるポイントになるから」という考えでした。これは正直に、そうでした。商売人として、それ以上は考えていなかったというのが、正直なところです。

ですが震災後の今は、「無添加で作るのは、召し上がるお客様の心と体の健康にいいはずだから」と、真剣に思っています。

こういう風に考え方の方向が変わったきっかけが、あの震災であったと思うわけです。

社会のため、などという大仰なことは申しませんが、それが結局それにつながるのであれば、嬉しいことです。

支援活動をするうちに、気がついたこと

震災被災者さんへの支援は、当店はあまり大したことができませんでした。

身内に福島のものが多数おり、そちらは訪ねたり連絡を取ったりしておりましたが、結局それより北の東北にはまだ行っていません。

それでも、微力ながら売り上げの10%を数ヶ月間義捐金として送ったり、福島からの被災者の方が集まる千葉県内の施設にキムチをお送りしたりした経験の中で、感じたことがあります。

それは、まず何よりもこの世で大切なのは、「人に寄り添う心」である、ということでした。

表現は難しいのですが、とにかく、「金額や数字」から出発するのではなく、「心」から出発しないと、行動は意味を成さないのではないか、と思えてきたのです。

お客様の方向を向く

人と人の関わりは、数字では解決できないものがある。それは今も強く思うことです。

商売は、決してゲームではありません。命の通った、人と人との交わりが商売です。

うちの作るキムチを召し上がる方には、命があり、ご家族があり、毎日の生活があります。

ですから、その生きたお客様にお出しする商品に、嘘はつけません。

結果として売り上げや利益が上がっても、もともとの「思い」に歪んだ間違いがあれば、それは褒められることではない。嘘をつかずに、零細であっても、時に無駄かもしれないことであっても、「思い」を強く保って、仕事をしていく。

そして、3月11日が来るたびに、この思いを新たにする。

そうして行きたいです。

これからも、お客様の方を向き、「思い」から出発した仕事をしていこうと思います。