キムチは腐る? 腐らない?

発酵がブームですね

最近、「発酵」がブームですね。
私の身近な友人の中にも、「発酵」に関心を持つ人が増えています。

そうした友人の一人から先日、「やがちゃんはキムチ屋だから発酵の専門家だね!」と言われて、びっくりしました。
え?! 専門家? そうなのだろうか・・・。

実は発酵を意識していません

正直に書けば、30年近いキムチ屋稼業の歴史の中で、「発酵」を意識したことが、ほとんど無いのです。

キムチの場合、特に白菜などの野菜のキムチの場合ですが、作ってから日が経つと、酸味が出てきます。

これは自然と起きる「乳酸発酵」の結果なのですが、実は、あまり意識したことが無いのです。

理由はまず、発酵を促進する酵母や菌を加えるわけも無い「自然発酵」ですから、「自然とこうなるから意識しない」、というもの。

それと、、ほとんどすべてのやがちゃんキムチは、作ってすぐに売れてしまうからです。
発酵して酸っぱくなったキムチを売ることはもちろん、それを見ることもありません。
もちろん、保存サンプル等で見ることはあるのですが、少なくとも、発酵が進んで腐ったものは、一度も見たことがありません。実は製造後数年経つサンプルもあるのですが、それですら、腐っていません。
それどころか、甘い香りすら漂っています。口すると、まろやかな酸味が出て、旨味も強くなり、かなり美味しいと感じます。

ですがもちろん、それを売り物にはできません。

ウィスキーやワインの「何年もの」はありますが、キムチの何年もの・・・はありえないでしょう。

もともと、どんどん作ってどんどん消費するものですから、長期保存する前提で作ってはいません。

にもかかわらず、腐らない、「年代もの」すら存在する、と考えると、その理由を知りたくなりますね。

発酵と腐敗の違い

ところで、「発酵」と「腐敗」は、どう違うのでしょうか・・・?

実は、本質的には同じことなのだそうです。

ただ、発酵が進んだ結果、人間にとって有害な菌が繁殖する場合が「腐敗」となり、有害でない場合は、「発酵」と呼ぶだけの話で、現象としてはまったく同じだということです。

腐らない理由

それを踏まえたうえで、やがちゃんの野菜系キムチが腐りにくい理由は二つあると思います。

1)やがちゃんキムチはもちろん無添加で、保存料なども加えておりません。しかし、そのメイン素材には、唐辛子、にんにく、しょうが、魚介塩辛等、殺菌保存作用の強いものが大量に使われてます。キムチのタレ(ヤンニョムジャン)に含まれる上記4種類の素材の合計は、実に全体の5割程度。半分です。これは実は、標準的なキムチの数倍の量なのです。

これでは、そう簡単に腐るはずが無いですね・・・。

2)やがちゃんキムチは無添加のまま、乳酸発酵が進みます。添加物に影響を受けることなく、発酵が「正式に」進みます。添加物の中には本来の発酵を止めたり阻害したりするものもありますが、無添加の場合は関係ありません。

乳酸発酵で増殖される「乳酸菌」は、腐敗作用を止めます。乳酸菌は腐敗につながる菌を一瞬にして殺します。

ですから、尚更腐らないのですね。

それでもやはり賞味期間内に!

ただ、魚介系や肉系キムチなどは、素材のたんぱく質がやがて腐敗しますので、この限りではありません。

野菜系キムチに関しては、上記の通り、発酵しても、ほとんど腐りません。

ただ、それぞれの商品には、「食べごろ」と言うものがあります。

それを考えた上で、「賞味期間」を設定してあります。

また、ご家庭での保管は、さまざまのイレギュラー要素が絡んできますので、カビがついたり、腐敗したりすることは、大いに考えられます。

やはり、賞味期間内に召し上がって頂くように、お願いしています。