キムチの酸味について書きますね。
キムチは保存しておくと徐々に酸っぱくなります。
(酸味がないキムチも、あるキムチも、私は両方大好きです。)
酸っぱいキムチがお嫌いな方も多いので、「酸味が出たものは腐っている」と誤解されがちです。
ですので、ここでまとめておきましょいう。
1)野菜のキムチが酸っぱくなるのは、糖分の乳酸発酵のせいなので大丈夫!
これは、野菜の「糖分」がキムチの乳酸菌で分解されて、「乳酸」と「酢酸」と「炭酸ガス」が生まれることから起きる現象です。酸味の正体はこの「酢酸」、つまり酢なので、酸っぱくなっても、腐っているわけではありません。また、炭酸ガスが出るので、キムチを入れた袋が膨らんだりするのです。
むしろ、「正しいキムチ」の場合は、発酵により旨みもどんどん出てきますので、よりおいしくなるのです。無添加キムチが酸っぱくなったものを、白いご飯と一緒に頬張る・・・・ああ、たまりませんよ!
やがちゃんキムチの野菜系キムチの賞味期限は、この酸味が出る目安の日付で設定しています。ですから、実際は期限が切れても、まだまだ大丈夫なのです。
私自身、この30年間、自社製品でキムチが腐ったものを見たことがありません!
2)肉や魚が酸っぱくなるのは、たんぱく質の腐敗のせいなので、ダメ!
同じ微生物による分解でも、たんぱく質が分解すると、発酵ではなく、腐敗となります。ですから、肉や魚に酸味を感じ出したら、食べないほうがいいですよ。
3)人工的に酸味を加えたらどうなのか?
ここが問題なのです。
キムチに、最初から添加物で酸味を加えてしまう製法があります。クエン酸などの酸味料が多用されます。これはなぜでしょうか?
これは、「素材が貧弱で正しい発酵が期待できないので、最初から酸っぱくしてしまい、発酵自体を止めて賞味期間を延ばす」ということを狙っているわけです。
こういう「偽酸味」のキムチは、つまり、発酵による旨みの増加も期待できません。
ならばどうするか・・・そうです。だから、添加物である化学調味料で旨みの演出をするのです。
さらには、品質の均一化を図るために、PH調整剤などで、味を固定させてしまいます。
こうなるとキムチは、食べ物というよりも、「工業生産品」ですね。
◎結論です
正しく作られた無添加のキムチは、乳酸発酵で自然と酸味が増し、旨みも増す。
添加物で酸味を加えられたものは、そのような醍醐味は期待できない。
醍醐味の醍醐とは、「チーズ」の漢字呼称です。
乳酸発酵の代名詞、チーズのように、自然の恩恵に浴するものを頂くことこそ、人生の醍醐味のひとつですね!