老舗は何を変え、何を変えないか

1

老舗とは何か

老舗の味、とよく言います。
「100年間変わらない作り方で、変わらない味を出しています」というようなこともよく聞きます。

果たしてそれは、本当でしょうか? 私は、違うと思います。

まず、「同じつくり方を守れば、同じ味が出る」というのは、ありえません。

長い年月の間には、原料自体が無くなってしまったり、品質が変化したりすることは当然です。
変わってしまった原料を同じ作り方で加工したところで、同じ味は出るはずがありません。それは必ず、変わるのです。

原料だけではなく、気候も変わります。文化も変わります。社会的背景も変わります。
そのような外部的要因から無縁であることは、どんな老舗のメーカーにも出来ません。
社会が必要としなくなった名品は、すでに名品ではないのです。

江戸時代に日本橋の目抜きとおりに並んでいた天下の名品達のうち、いったいいくつが今の世に残っているでしょうか。たった100年か200年のうち、ほとんどすべては姿を消してしまったのです。

本当に変わらないものとは

それでもなお、昔も今も世に受け容れられ、変わらず人気を誇る「老舗」は、何が変わっていないかといえば、作り方や材料ではなく、ものつくりに対する「考え方」、つまり、「哲学」が変わっていないのです。

少しでもいい素材を使い、少しでもお客様に満足感を感じさせるように、作り方の工夫をする。絶えず、研鑽する。他の店のいいものは研究し、可能なら取り入れる。

常により良いものを。
常にお客様の幸せを。

その姿勢こそが変わっていないことなのです。

やがちゃんキムチが守るものは

やがちゃんキムチは、たった25年ほど前に私が始め、いまだに私が運営しております。
その間、このような姿勢を変わらず持ち続けてきたからこそ、素材もレシピも、どんどん変わってきました。それが当然のことなのです。

老舗とは到底名乗れない当店ですが、ご支持いただいている多くのお客様のご期待に沿うために、今後も「変わらぬ姿勢、恐れぬ変化」で参りたいと思います。

無添加、美味、安心。

これだけは守ってまいります。