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北杜夫さんが亡くなりました。
「どくとるマンボウ航海記」・・・・・今思い出しても、胸躍る作品でした。
私はこれを中学生の時に読み、世の中にはこれほど面白い本があるのだと初めて知りました。
文学というものに目覚めた、最初の瞬間であったかもしれません。
本当に、面白かった。
そううつ病という言葉も初めて知り、それを明るく解説して、茶化すでもなく深刻になるでもなく、ユーモアセンスたっぷりに描くその文章に、ある一つの生き方を見出した気がします。
自分を、描く対象として見る。
その余裕から、ユーモアが生まれる。
あの時代、そういう余裕を持った人はいなかったように思えます。
その後大学で、北さんのお兄さんの授業にも出たりしました。ああ、あの北さんのお兄さんだ、と必死に聞いた記憶があります。お兄さんもやはり、お優しそうな方でした。
北さんこそ、青春時代を通じて、最も好きな作家さんであったことは間違いがありません。
これほどに人の心に残る思い出を下さった、北さん。
一読者として心より御礼を申し上げると主に、ご冥福をお祈り申し上げます。
by やがちゃん of やがちゃんキムチ