「そこの御仁、待った!」
と、仁王の手が伸びてきます。
「何をしに来たんだ」
「はい、東漸寺にお祈りに」
「そうか、通れ」
「おい、待て、誰だおまえは!」と、今度は狛犬。
「はい、お寺にお祈りに」
「何を祈るのだ」
「はい、幸せを」
「誰の幸せだ」
「はい、家族と、友人と、親類と」
「おまえ自身はどうなのだ」
「私は、一番後回しで」
「そうか。通れ」
通された先に、真っ直ぐな石畳の参道。
その先に光の塊が。
今日は、あれと、あれと、あれを祈ろう、。そして、次にあれと、あれも。
自分の金のことは? 名誉のことは?
まあ、いい。あとからついてくれば・・・
・・・・・
などという短文が浮かぶ、秋の東漸寺。
ことしもあとわずか。
by やがちゃん of やがちゃんキムチ