秋の東漸寺

tadami 210

 

「そこの御仁、待った!」

と、仁王の手が伸びてきます。

「何をしに来たんだ」

「はい、東漸寺にお祈りに」

「そうか、通れ」

tadami 209

 

「おい、待て、誰だおまえは!」と、今度は狛犬。

「はい、お寺にお祈りに」

「何を祈るのだ」

「はい、幸せを」

「誰の幸せだ」

「はい、家族と、友人と、親類と」

「おまえ自身はどうなのだ」

「私は、一番後回しで」

「そうか。通れ」

tadami 207

 

通された先に、真っ直ぐな石畳の参道。

その先に光の塊が。

今日は、あれと、あれと、あれを祈ろう、。そして、次にあれと、あれも。

自分の金のことは? 名誉のことは?

まあ、いい。あとからついてくれば・・・

 

・・・・・

などという短文が浮かぶ、秋の東漸寺。

ことしもあとわずか。

 

 

by やがちゃん of やがちゃんキムチ