柳兼子。
白樺派の精神的支柱、柳宗悦の奥さんです。
激しい恋愛で結ばれた後、気難しい宗悦との生活に悩みながらも、声楽家として活躍しました。
まだ、女性の社会進出が少ない時代ですが、そのレベルの高さは国際的にも評価され、西欧までにも活動の足を伸ばしたということです。
戦争前夜のあの時代、日本にはそういう明るさがまだあったのですね。
我孫子市の「白樺派記念館」のエントランスに立つと、階下から女性の清らかな声が聞こえて来ます。
釣られて階段を下りると、誰もいない部屋で、兼子の声が響いています。
椅子に腰を下ろして、じっくり聞いてみましょう。
世界を股に掛けて活躍した日本女性がいたことに、感動します。
心が、洗われる思いがします。
兼子の活躍は、戦後も続き、最後のコンサートは、なんと88歳のとき。
美しい人生ですね。
兼子が宗悦と暮らした邸宅の跡は、いま「三樹荘」として残っています。あの嘉納治五郎の別宅だったということです。