最近、キムチも含めて、酵母エキス入りの加工食品を「無添加」と謳って売っている例を良く見ます。
代表的な例は、有名な「出汁パック」で無添加と称し、女性中心に人気を集めている商品がありますね。
昆布や魚介の出汁素材をパックに詰めたもので、「これをパックごと調理の場面で料理に入れれば、いい出汁の味が出ますよ」というものですね。
もちろんこれは、違法表示でも誇大表示でもありません。
日本の法律では、「酵母エキス」は「添加物」では無いとされているからです。
だから、この出汁パックやその他の酵母エキス入りの商品を「無添加」とするのは、間違ってはいないのです。
ただ。
私の言いたいことは、これです。
酵母エキスの効果も、ハイミーや味の素等の「アミノ酸調味料」の効果も、本質的に同じだということです。
たとえば、ママが子供に毎朝みそ汁作るとします。
できるだけ自然の美味を味わって欲しいので、煮干しや昆布で出汁を取ります。酵母エキスもアミノ酸調味料も使いません。
するとそのみそ汁は、煮干しや昆布、みそ汁の具、味噌の味わいだけで出来ている、本物の「無添加味噌汁」ということになります。優しい、ママの味。こういうママを持つ子供は、本当に幸せだと思います。世界で唯一無二の、ママの味噌汁。本当の美味しさというのは、こういう料理の中にあるのです。
ところが、酵母エキスを入れるとどうなるか。
それは、酵母エキスの味となるのです。先述の出汁パックでも、昆布や魚介の素材の質と量が十分だったら、酵母エキスなど必要ないはずです。
なぜ酵母エキスを使うのか、それは、天然素材の質と量が希薄だから、酵母エキスで人工的に「旨味」を補う必要があるからです。ということは、そのみそ汁は、天然素材を味合わずに、酵母エキスの味で「ごまかされた味」であると言えます。
恐らくこれを読んだこの酵母エキス利用食品の関係者の方は、「いや、それは違う!」と仰ると思います。
酵母エキスは安全であり、自然の素材で作られたものであるのだから、旨味を加えるために利用するのは極めて正当なことであると、仰ると思います。
けれど違います。私はこう答えます。
それは、あなた方の「腕」が悪いから、そうせざるを得ないだけだと。
もっと悪く言えば、経済性優先でそういうものを子供に飲ませるということは、決して褒められたことではありませんよ、と。さらに悪く言えば、それをいかにも自然な食品であると強弁するそのやりかたは、一種の「詐欺」の入り口に向かっていると思えますよ、と。
人の口に入るものを作るという行為は、「良心」が無ければ出来ません。
食する人の喜びと健康を、我が喜びとする人こそ、食べ物を作るに値する人です。
酵母エキスは、アミノ酸調味料と本質的に同じ目的で作られています。
その味、本当の美味しさですか?
酵母エキスやアミノ酸の味に過ぎないのではないですか?
そう問うことを、習慣にしていきましょう。