「七人の侍」とやがちゃんキムチエキストラ

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僕がこの映画を初めて見たのは、アメリカの大学の「映画鑑賞」の授業ででした。

一年間で30作ほどの世界の名作をただで見れる時間で、単位もくれるとあって、いつも大盛況。
その最初の映画が、この「サムライ セブン」でした。

それ以来、ビデオで、テレビで、いったい何回見たでしょうか。
紛れも無く、世界映画史上ベストワンの作品だと思います。

黒澤作品はどれを何回見ても、見飽きない。
心の中で色あせないのです。

テーマが深遠かつ明快なこともありますが、もう一つの特徴は、一つ一つの映像が、どのシーンでも一枚の絵画のようにバランスが取れた美術作品のように仕上がっているところだと思います。

音声を出さないで、画面だけ見ていても、美しい。

上の三枚の写真は、先日BSで放送された物をデジカメで写したものですが、その真ん中の写真を見てください。
中央に居る武士が、刀を斜に構えていますよね。これが、周囲の農民達の竹やりの向きと一致しています。これが野武士の襲撃を待ち構えるシーンで、5秒ほど続くのですが、この刀の向きが少しでもずれていたら、緊張感がこれほどに感じられないでしょう。

そこまで計算された「絵」なのですね。

 

「七 人の侍」で、初めて野武士の一団が山を駆け下りて来るシーンは、その凄まじさ、壮絶な演技、全体の芸術的配置に、文字通り身の毛がよだちました。今見て も、毎回背筋が寒くなります。アメリカの学生もその場面では、誰もが「ワオー」とため息をつき、その音が教室内に低く響き渡ったったのが、今でも記憶に残 ります。

黒澤監督は、シーンの一枚一枚の絵コンテを全て自分で書いたとのこと。

やはりこれは、「芸術」なのですね。

芸術というには口幅ったいですが、新作の「やがちゃんキムチエキストラ」、一つの作品です。